1. 中部ろうさい病院 ホーム
  2. 診療科・担当医のご案内
  3. 外科系診療部門 呼吸器外科

外科系診療部門 呼吸器外科 

外科系診療部門 呼吸器外科



 胸腔鏡下手術は、胸に小さな傷をつけ、直径2~10mmの細長いカメラスコープを体に挿入することで身体の中をテレビに写し、モニター画面を見ながら行う手術です。外科・消化器外科領域では腹腔鏡下胆嚢摘出術が有名ですが、胸腔鏡下手術は胸部に行う内視鏡外科手術となります。胸腔鏡下手術(以下VATS: video assisted thoracic surgery)が行われるようになってから十数年経過し、初期は肺部分切除などの簡単な手術だけでしたが、現在は肺癌の定型的手術(血管や気管支の処理を行う)から局所進行肺癌に対する拡大手術にまで応用されるようになってきました。

 

 従来から行われてきた開胸手術は、肋骨や胸骨などの骨や筋肉を切り、道具を用いて開胸することで直接見ながら手を入れ行っていました。これに比べ、胸腔鏡下手術では切る筋肉の範囲が非常に小さく、身体に大きな傷を付けず手術を行うことができるため、患者さんにとっては術後の痛みが少なくなるとともに、術後の早期回復、社会復帰が可能となります。

 

 しかし、胸腔鏡下手術は決して簡単に行える手術ではありません。専門医の確実な手技と術中の迅速な判断力はもとより、従来の標準手術にも慣れている必要があります。疾患によっては従来の開胸手術が安全でより良い場合もあるため、当院では患者さんの安全に配慮し、鏡視下手術のメリットとデメリットを十分に説明させていただき、納得の上で手術を受けられることをおすすめしています。

 

 当院には、各領域に鏡視下手術を行うことができる医師が勤務しており、また、多職種が協力して技術向上を図り、多領域にまたがる疾患にも対応しています。ご相談や疑問がありましたら、お気軽に受診してください。

◆具体的には…

・内視鏡を挿入するための切開(10~30mm)を行い、直径2〜10mmの細長い内視鏡を手術部位に挿入する。

・胸腔鏡下手術専用器具を挿入するための切開(20mm程度)を数ヶ所行い、当該箇所から専用器具を挿入し、テレビモニター上に映し出された映像を見ながら手術を行う。

・麻酔は主に全身麻酔を用いる。

標準開胸術
A 標準開胸手術
直視下に行う手術

※現在は補助的に胸腔鏡を用いています。

胸腔鏡補助下手術
B 胸腔鏡補助下手術
(hybrid VATS)

直視及びモニター視の両方で行う手術

胸腔鏡下術
C 完全胸腔鏡下手術
(complete VATS)

モニター視だけで行う手術

      

◎従来の手術では大きく切開(開胸)していたのに比べ、傷が小さく済むことが最大の特徴です。

◎胸腔鏡下手術は健康保険が適用されています。


【胸腔鏡補助下手術及び開胸手術への移行について】

 胸腔鏡下手術において、テレビモニター上に映し出された映像だけでは手術が困難な場合は、切開範囲を延ばし、肋間を少し拡げて手術を行うことがあります。 これを「胸腔鏡補助下手術」と言い、開胸手術と胸腔鏡下手術を併用して行う手術となります。手術手技が複雑な箇所は直接目で見ながら、直接見にくいところはカメラで拡大した映像をテレビモニター上で確認しながら手術を行っていきます。

 また、胸腔鏡下手術の開始後であっても、以下のような場合は患者さんの安全を守るため、開胸手術に切り替えることがあります。

・患者さんが以前に受けられた胸腔内手術や炎症等の影響により開胸手術が適切と認められる場合

・術中に出血があり、止血が難しい場合

・予想よりも周囲の臓器に高度に進展(浸潤)していた場合

などです。


 手術による身体への負担が比較的軽いため、手術後は開胸手術より患者さんにとって楽な場合が多いですが、決して簡単な手術ではありません。

 患者さんには、主治医の説明の下、胸腔鏡下手術のメリット・デメリットを十分に理解し、納得して手術を受けていただけるようご説明しています。


【メリット】   

・切開部位が小さく、術後の痛みが比較的軽度で済む。       

・傷が小さく、美容的に優れる。    

・カメラの解像度など手術器具の進化により胸腔内の構造物が鮮明に見え、さらに直視できなかった場所を拡大視できる。

・肺活量など呼吸機能の低下に及ぼす影響が少ない。

・回復が早いため、入院期間が短くなり、早期の職場復帰、社会復帰が可能となる。

【デメリット】   

・モニター画面を見ながらの操作となるため、術中の視野が狭く、高度な技術を要する。   

・カメラの視野外の胸腔内の出来事に気づきにくい。  


手術・処置名 件数(平成26年実績)
胸腔鏡下胸管結紮術(乳糜胸手術) 2
胸腔鏡下醸膿胸膜切除術 3
胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 16
胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 7
胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 37
胸腔鏡下肺切除術(その他のもの) 5
胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの)) 8
胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術 2


Q.希望すればどこでも胸腔鏡下手術を受けられますか?


A.胸腔鏡下手術は、どこの病院でも行える手術ではありません。この手術は、以前までの開胸手術等とは違う、新しいタイプの手術になります。光学機器類を始めとする最新の器具類を揃えている病院であることはもとより、それらを間違いなく使いこなし、不測の事態にも迅速に対応できる医師の存在が必要となります。当院では、この新しい手術方法に精通した、高度な技術を持つ医師が日々研鑽を重ね、患者さんの診療にあたっています。また、胸腔鏡下手術による治療が可能かどうかは、患者さんの個々の状態により判断することになります。患者さんにとって安心で最適な手術・治療を提供できるよう、スタッフ一同努めておりますので、気になることは遠慮せずお尋ねください。

Q.胸腔鏡下手術を受けた後、肺機能の低下は起こりませんか?


A.肺の手術をするときは、予定した手術をするとどのくらい肺機能が低下するのかを手術前に計算します。これを予測術後肺機能と言います。予測術後肺機能には、一定の基準が設定されており、これに沿って適切な切除肺の量を決めています。基準を大幅に下回る場合は、手術そのものが危険となることがあるため、患者さんの状態に合わせ最も良い治療法を検討していきます。胸腔鏡下手術を受けた患者さんは、大きく開胸した患者さんに比べ、肺機能の低下率は小さく、また、早く回復することがわかっています。その理由としては、胸腔鏡下手術が呼吸に関係する呼吸筋へ与える損傷が極めて小さいことがあげられます。

Q.かかりつけ医は近所の診療所なのですが、胸腔鏡下手術は受けられますか?


A.中部ろうさい病院では、地域の医療機関と連携を取り、患者さんのニーズに応えられる体制を整えております。直接、当院の外来を受診されても構いませんが、その場合、診察や検査を最初から行っていただくことになり、患者さんへの負担も増えてしまいます。余計な検査や重複する検査を省き、迅速な対応をさせていただくためには、事前にかかりつけ医の先生とよくご相談いただき、紹介状をお持ちいただくか、当院の地域医療連携室を通して紹介していただくことをお勧めしております。ご不明な点がありましたら、当院の地域医療連携室へご相談ください。

地域医療連携の詳細、お問い合わせ先はこちらからご覧いただけます。

呼吸器外科の関連ページ

ページの先頭へ