疾患名 |
疾患の簡易解説 |
脊髄損傷後四肢体幹麻痺 |
頚髄損傷による四肢麻痺、および胸腰髄損傷による対麻痺になった患者さんがリハビリテーション目的に入院されます。高位頚髄損傷の場合は人工呼吸器の外れた時点で、入院していただいています。多くの患者さんにおいて障害が重いため、理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士・看護師らと密に連携したリハビリテーションを提供しています。また麻痺した患者さんになりやすい褥瘡・仮骨性筋炎・神経障害性疼痛などにはさまざまな検査、評価をおこなった上で、患者さんに適した治療を選択します。手術後の脊椎評価は日本で有数な整形外科のサポートを受けることができます。 |
脊髄損傷後神経因性膀胱 |
脊髄損傷が原因となり排尿障害を来します。リハビリテーション科では膀胱造影・膀胱内圧測定などを組み合わせたウロダイナミクススタディーを実施し、泌尿器科と連携することにより内服薬の調整をしています。また泌尿器科で行われている膀胱へのボツリヌストキシンの施注前後にこの評価を行うことによって、適切で総合的な排尿管理法を提案しています。 |
脊髄損傷後直腸機能障害 |
脊髄損傷後には、排尿と同様に便排出障害や便失禁を来すことがしばしばみられます。緩下剤の内服や浣腸療法では症状が改善しないことや介護する側の労力を要することがしばしばみられますが、コロプラスト社が開発したペディスティーンを使用した洗腸療法を導入することにより、多くの脊髄損傷患者さんで排便対処時間の短縮や便失禁の改善などが得られています。 |
中枢神経麻痺後痙縮 |
脳卒中や脊髄損傷患者の後遺症として痙縮は高頻度に出現します。初期には運動療法や内服治療により症状が改善しますが、程度が増大し日常生活動作が障害されるようになります。そのような場合は、その原因となる筋にボツリヌストキシンを注射して、過剰な筋肉の収縮を軽減させます。当科では、低周波装置や超音波診断装置などを使用して安全性を確保しながら処置を実施しています。 |
上肢切断(能動義手・筋電義手) |
労災保険では、平成25年以降労働災害による上肢切断者に対して、電気の力で動かす筋電電動義手を支給する制度ができました。当科では能動義手製作訓練を積極的に行うと同時に、適応のある患者さんには評価用筋電義手を無料で貸し出して、病院だけでなく自宅での練習に使用していただき、労働局と協力して、支給の必要性の判断を行っています。また、労働災害以外の上肢のない方(成人および小児の先天性上肢欠損者を含む)にも筋電義手が必要と思われる場合は、同様の練習の場を提供して、障害者総合支援法に基づいた自治体への意見書を作成しています。 |
下肢切断者(義足) |
下肢切断の原因は、従来は外傷が主体でしたが、最近では糖尿病・閉塞性動脈硬化症・骨軟部組織腫瘍・細菌感染症などによる者の割合が増加しています。また中高齢者の患者さんも増えています。切断患者さんには早期からリハビリテーションを行って切断部分の形を整え、仮義足を作成します。最近は見た目より機能を重視した義足が選択される場合が多くなり、切断部分にも負担が少なく、かつ切断した足の長さに適したソケット(切断部分を包んで義足をつなぐ部分)が選択できるようになりました。また、義足の関節部分にあたる膝継手や足継手においても歩行能力をより良好にするためのものを選択できるように努めています。 |