重要なお知らせ
小児科診療の停止について

リハビリテーション科の診療内容

概要

リハビリテーション

リハビリ

リハビリ科入院の患者さんに対して、必要に応じて理学・作業療法士が病棟でリハビリを行っています。訓練を行うに当たっては、訓練室でのリハビリと併せて、実際の生活空間で動作訓練をすることが効率的で有効とされています。

作業療法士が自助具(動作を補助する器具)を検討し、動作の方法を助言・訓練も行っています。内容は状態に合わせて多岐に渡りますが、日常生活改善を目指しています。

また、当院を退院された方や関連外部の方々をお招きして、これからの社会復帰に向けた情報提供『社会生活講座』を定期的に開催しています。

リハビリ


褥瘡(床ずれ)予防

私たち看護師は、患者さんとサポートをする家族の方に、退院後の生活を考えた「褥瘡・皮膚障害の予防方法やマットレス・クッションの選択」ができるようにアドバイスをさせていただいています。さらに、日常生活の中でのケア方法を一緒に実践しています。

リハビリ訓練を進めていく中では、褥瘡や皮膚に関してのトラブルが最も起こりやすく、日常生活の質を低下させる原因の一つとなっています。移動動作に伴って発生するずれや摩擦、臥床や車いす生活による長時間の圧迫という問題です。

退院後によりよい生活を送ることができるように、リハビリ訓練中から退院まで継続して患者さん・家族の方とともにケアをさせていただいています。


痙縮

脊髄損傷や脳卒中において、麻痺と共にみられることが多い障害の一つに「痙縮」があります。痙縮とは、手足や体幹の筋肉のつっぱりのことを言います。

痙縮があると、手指が握ったままの状態になってしまったり、肘が曲がって伸ばせなくなったり、足が裏側の方向に曲がってしまうなどの症状が出てきます。そのような姿勢が続くと、関節が固まって動きにくく(拘縮)なってしまうこともあります。

このように痙縮により日常生活に支障をきたす場合は、痙縮に対する治療が必要となってきます。


ボトックス(療法について)

当院では、内服薬での痙縮コントロールが難しい場合には、外来でのボツリヌス療法等の神経ブロック療法を導入しております。

ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)により作り出されるたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とするボツリヌストキシン製剤を、筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌストキシン製剤を注射することにより、神経の働きを抑えて筋肉の緊張をやわらげることができます。ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。

ボツリヌス療法とリハビリテーションとを併用することで、より日常生活動作を行いやすくなることが期待できます。


体重免荷トレッドミル歩行訓練

トレッドミル

ハーネスという吊り具で体を支えながら歩くため、転倒の危険性が低く、体の負担を少なくして歩行練習ができます。個々の身体状況に合わせて体重免荷量や歩行速度も調節できます。


筋電電動義手

筋電義手は、切断手の残っている筋肉の動きを利用して、モーターで義手の指を動かします。掴む力が強いことが特徴です。

職場や生活環境に適した義手を、状態・状況に合わせて検討します。早期の社会復帰に向けて訓練を行っています。

筋電電動義手


嚥下機能評価と訓練

飲み込みが弱い方には検査を行い、適切な食事や姿勢の評価を行っています。そして、食物を使う訓練や、のどの筋力をつける訓練等を患者さまの状態に合わせて行います。また、看護師やご家族・患者さまでも行える訓練をお伝えしています。

嚥下


認定・研究等

  • リハビリテーション科医学会専門医認定施設 臨床神経生理学会研修施設

脊髄疾患とリハビリテーション

脊髄損傷とは

脊髄とは脊柱(背骨)の中を通っている神経のことです。外部からの強い圧力などにより、この脊髄が損傷を受けた状態を脊髄損傷といいます。外傷だけでなく、ヘルニアなどの内的要因からも脊髄損傷を発症することがあります。症状としては、損傷部位の支配レベル以下における麻痺があげられます。損傷の状態により症状の重さは異なり、脊髄の神経伝達機能が完全に断たれた「完全損傷」、一部の機能を残した「不完全損傷」に分かれています。完全損傷の場合、運動機能と知覚機能の双方が消失します。また、頚髄損傷および上位胸髄損傷の場合は、自律神経系の機能も損なわれるため、汗をかく、鳥肌をたてるといった体温や血圧のコントロールがうまくできなくなり、血圧が不安定になります。


脊髄損傷のリハビリテーションについて

脊髄損傷に対しては、まずは全身状態を安定させて損傷が広がらないようにする必要があります。患者の状態に応じて手術や薬物療法を行い、損傷部位によっては呼吸機能が低下するため呼吸器を装着するなど全身状態の管理を行います。症状がある程度落ち着いたら、離床や運動、日常動作の訓練を行います。損傷の程度に応じて、目標とする生活自立度を設定し、理学療法(歩く、車いすに乗るなどの運動に関するリハビリテーション)、作業療法(ひげをそる、文字を書くなどの日常動作に関するリハビリテーション)等の側面から一人ひとりにあった計画を作成し、リハビリテーションを実施します。また、今後の生活への不安といった心理的問題への対処も重要です。


当院の脊髄損傷のリハビリテーション

当院では、ベッドサイドから、呼吸器を使用した呼吸訓練やクッションを使用した床ずれ及び低血圧の防止を行っています。また、ボトックス等を使用した痙縮コントロール、脊髄損傷者の体重免荷トレッドミル歩行訓練、牽引式起立・歩行レーン、長下肢装具(HALO)など高度な技術を用いて機能回復に努めています。
また、当院に障害の当事者の方をお招きして普段の生活の様子などについてお話しを伺い、リハビリテーションの長期的ゴールや社会復帰等に対する理解・意欲を深めることを目的とした社会生活講座を50回以上に渡って開催しております。

体重免荷トレッドミル歩行訓練

体重免荷トレッドミル歩行訓練

歩行用ロボット訓練

社会生活講座の様子


主な疾患

疾患名 疾患の簡易解説
脊髄損傷後四肢体幹麻痺 頚髄損傷による四肢麻痺、および胸腰髄損傷による対麻痺になった患者さんがリハビリテーション目的に入院されます。高位頚髄損傷の場合は人工呼吸器の外れた時点で、入院していただいています。多くの患者さんにおいて障害が重いため、理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士・看護師らと密に連携したリハビリテーションを提供しています。また麻痺した患者さんになりやすい褥瘡・仮骨性筋炎・神経障害性疼痛などにはさまざまな検査、評価をおこなった上で、患者さんに適した治療を選択します。手術後の脊椎評価は日本で有数な整形外科のサポートを受けることができます。
脊髄損傷後神経因性膀胱 脊髄損傷が原因となり排尿障害を来します。リハビリテーション科では膀胱造影・膀胱内圧測定などを組み合わせたウロダイナミクススタディーを実施し、泌尿器科と連携することにより内服薬の調整をしています。また泌尿器科で行われている膀胱へのボツリヌストキシンの施注前後にこの評価を行うことによって、適切で総合的な排尿管理法を提案しています。
脊髄損傷後直腸機能障害 脊髄損傷後には、排尿と同様に便排出障害や便失禁を来すことがしばしばみられます。緩下剤の内服や浣腸療法では症状が改善しないことや介護する側の労力を要することがしばしばみられますが、コロプラスト社が開発したペディスティーンを使用した洗腸療法を導入することにより、多くの脊髄損傷患者さんで排便対処時間の短縮や便失禁の改善などが得られています。
中枢神経麻痺後痙縮 脳卒中や脊髄損傷患者の後遺症として痙縮は高頻度に出現します。初期には運動療法や内服治療により症状が改善しますが、程度が増大し日常生活動作が障害されるようになります。そのような場合は、その原因となる筋にボツリヌストキシンを注射して、過剰な筋肉の収縮を軽減させます。当科では、低周波装置や超音波診断装置などを使用して安全性を確保しながら処置を実施しています。
上肢切断(能動義手・筋電義手) 労災保険では、平成25年以降労働災害による上肢切断者に対して、電気の力で動かす筋電電動義手を支給する制度ができました。当科では能動義手製作訓練を積極的に行うと同時に、適応のある患者さんには評価用筋電義手を無料で貸し出して、病院だけでなく自宅での練習に使用していただき、労働局と協力して、支給の必要性の判断を行っています。また、労働災害以外の上肢のない方(成人および小児の先天性上肢欠損者を含む)にも筋電義手が必要と思われる場合は、同様の練習の場を提供して、障害者総合支援法に基づいた自治体への意見書を作成しています。
 下肢切断者(義足)  下肢切断の原因は、従来は外傷が主体でしたが、最近では糖尿病・閉塞性動脈硬化症・骨軟部組織腫瘍・細菌感染症などによる者の割合が増加しています。また中高齢者の患者さんも増えています。切断患者さんには早期からリハビリテーションを行って切断部分の形を整え、仮義足を作成します。最近は見た目より機能を重視した義足が選択される場合が多くなり、切断部分にも負担が少なく、かつ切断した足の長さに適したソケット(切断部分を包んで義足をつなぐ部分)が選択できるようになりました。また、義足の関節部分にあたる膝継手や足継手においても歩行能力をより良好にするためのものを選択できるように努めています。

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