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腎臓内科の対応疾患

主な疾患

疾患名 疾患の簡易解説
慢性腎臓病 慢性腎臓病とは、尿の異常(多くは蛋白尿)や腎機能低下(eGFR 60ml/min/1.73㎡未満)が3か月以上つづく状態を指します。国民病と呼ばれるほど数が多く、成人の8人に1人、80歳台の2人に1人が慢性腎臓病です。蛋白尿が多くeGFRが低い人ほど末期腎不全(透析か移植が必要になること)になりやすく、心筋梗塞や脳梗塞といった病気にもなりやすいと言われています。慢性腎臓病では低下した腎機能が回復することは基本的に期待できず、進行予防のためには糖尿病、高血圧、高尿酸血症など生活習慣病の治療や食事管理、適度な運動、禁煙といった生活習慣の是正が大切です。
IgA腎症 IgA腎症は、慢性糸球体腎炎の中で最も頻度の高い病気で、小児や若い人にも起きます。血尿と蛋白尿が続き検診で発見されることが多いです。扁桃腺に代表されるリンパ組織で、異常をもったIgAという免疫タンパク質が過剰に作られ、それが腎臓を障害すると言われています。尿の赤み(血尿)を自覚する人もいますが、多くは無症状です。しかし長い年月をかけて腎機能が低下しやすく、成人では20年で30~40%が末期腎不全(透析か移植が必要になること)になります。特に蛋白尿が多いとか、病理検査の結果が重いと、腎不全になりやすいと言われています。寛解(蛋白尿と血尿を消失させること)させ、将来腎不全にならないように治療を行います。
多発嚢胞腎 ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)は、腎臓にたくさんの嚢胞(水分でできた袋)ができる遺伝性の病気です。嚢胞は年齢とともに増え、徐々に腎機能が低下します。60歳までに約半数の患者さんが末期腎不全(透析か移植が必要になること)になりますが、腎機能低下のスピードは個人差が大きく、同じ家系の中でも進み具合にはかなりの幅があります。脳動脈瘤や肝臓の嚢胞、心臓弁膜症などの病気を合併することもあり、みつかればそれぞれに治療をします。腎臓に対しては降圧治療や積極的な飲水、治療の条件を満たせばトルバプタンという嚢胞増大をおさえる薬などで治療します。
ネフローゼ症候群 ネフローゼ症候群は尿からタンパク質がもれて、血液中のタンパク質であるアルブミンが少なくなることで体全体がむくむ病態です。ひとつの病気ではなく、同じような症状を出す様々な病気の総称です。足や顔のむくみや尿の泡立ちがよくある症状ですが、ひどくなると肺や腹部、心臓や陰のうにも水がたまります。血液中のコレステロールが増えたり、腎不全、血栓症(血管が詰まる病気)、感染症を合併する危険性もあります。腎生検(入院して腎臓に針を刺し、採った腎臓を顕微鏡でみる検査)で原因となる病気を調べて、結果に応じてステロイドや免疫抑制といった薬を中心とした治療を行います。
急性腎障害 急性腎障害とは、数時間~数日の間に急激に腎機能(尿をつくり、老廃物を排泄するはたらき)が低下する状態です。無症状の人もいますが、重症になると尿の減少、むくみ、食欲低下、全身倦怠感などを自覚することがあります。採血では血中尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン(Cr)、カリウム(K)などが急に上昇します。腎臓自体に原因がある場合と、脱水や尿路の閉塞など腎臓以外に原因がある場合にわかれます。診断したら急いで原因を突き止め、その治療を行います。腎機能の回復は、腎障害の原因や程度、合併症の状況によって異なるため、腎障害が残って慢性腎臓病や末期腎不全に移行してしまうケースもあります。
末期腎不全 原因によらず、腎機能の低下が進行した状態が末期腎不全です。おおよそeGFR10ml/min/1.73㎡未満になると尿毒症の症状が強く出やすくなります。症状はとても多彩で、動悸息切れ・貧血・むくみ・吐き気や食欲低下・かゆみ・疲れやすさなど様々です。体内にたまった老廃物を除去し、症状を改善させるには腎代替療法(透析か腎移植)が必要です。人工透析療法(腹膜透析や血液透析)、腎移植(献腎移植や生体腎移植)といった治療法があり、基礎疾患や年齢、生活スタイルなどを考慮しながら相談してどの治療が最適かを決めていきます。

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