重要なお知らせ
小児科診療の停止について

腎臓内科の診療内容

概要

当院腎臓内科、リウマチ膠原病科は共同でチームを組み診療に当たっております。腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病(CKD)などの腎疾患全般のほか、膠原病、感染症など幅広い全身疾患を対象としています。当科では,最善の治療をするため週2回入院患者さんの症例カンファレンスを行い、さらに連日新入院患者、重症患者の検討会を行っています。診断、治療困難な症例は科全員で意見を出し合い解決に努めている他、各分野の専門家にも当科カンファレンスに定期的に参加頂き治療方針を決めています。その他にも多職種で連携して患者さんの病状を把握し治療にあたっており、慢性腎臓病の専門研修を受けた看護師、腎疾患専門の薬剤師や栄養士から食事・日常生活・服薬指導など患者さんの年齢や症状に合わせたアドバイスができるようにしています。

腎生検

検尿異常、ネフローゼ症候群、急速進行性腎炎の診断のため腎生検を行っています。患者さんの多くは近医よりご紹介いただいた方で、2019年度は42件の腎生検を行ないました。月に1回外部講師にお越し頂き腎病理の検討会を実施しています。

腎臓病教室

当院では年に1回腎臓病教室を行い、患者さん向けに講義を行っております。内容は、腎臓の働き、CKDの合併症、腎臓病における薬剤注意、減塩や蛋白制限などの食事の注意点、腎代替療法についての説明など多岐に渡ります。これらの内容を多職種で分担してお話しさせていただいております。2018年は10月10日(水)・16(火). 23日(火)、2019年は10月8日(火)・10月12日(土)と複数回内容を分けて開催しております。毎年9〜11月頃に行っています、当院に通院されていない患者さんでも参加いただくことが可能ですので、参加を希望される方は是非問い合わせください。(問い合わせ先:中部労災病院 代表番号052-652-5511にお電話いただき、腎臓内科外来まで)

血液透析

血液を体外に送り出し、血液中の老廃物や塩分、水分などを血液透析の機械を用いて取り除きます。1回あたり4時間程度、週3回で行います。

腹膜透析

お腹の中に透析液を入れ、一定時間貯めておくことで、老廃物を透析液に移し取り、その液を交換することで血液をきれいにする治療法です。1日3~4回の交換をご自分で行う方法と、夜間寝ている間に機械が自動的に液の交換を行う方法があります。病院への通院は月に1~2回です。腹膜透析は、2〜3日に一回行う血液透析に比べると血圧の変動が少なく、そのため腎機能の低下が緩やかになるのでご自身の尿が長く保たれます。腹膜の機能には限界があるため、8年を目安にいずれは血液透析に移行する時期がきますが、尿が保たれている間に血液透析よりもまず腹膜透析をしたほうが良いという、「PD ファースト」という考え方もあります。

腎代替療法選択外来

当院では腎代替療法説明に力を入れております。現在は当院に通院されている患者さんに対してのみではありますが、腎移植を含む腎代替療法のご相談のための外来を木曜日に設けており医師、看護師よりご説明しております。腎移植に関しては当院では行えませんので、希望される患者さんは名古屋大学、中京病院、名古屋第二赤十字病院などにご紹介させていただいております。腹膜透析、血液透析に関しては当院で手術、管理を行っております。 血液透析よりもまず腹膜透析をしたほうが良いという「PD ファースト」という考え方もありますが血液透析、腹膜透析、腎移植などについて平等に説明され、患者さん自身がよく理解し選択することが大切と考えており、最善の療法選択ができるようサポートに努めております。


医療連携

病状に応じて、幅広い診療科と連携を取っています。軽度の腎臓機能低下でも動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中の危険性が高くなるため、他の診療科とも連携し治療しています。
病状が安定している場合は数ヶ月に一度、腎臓内科で検査や診察を受け、普段はかかりつけの先生から治療を受けることも可能です。


認定・研究等

認定内容

  • 透析医学会教育関連施設
  • 腎臓学会認定教育施設

研究内容

  • 透析導入時研究および腎生検レジストリ研究(いずれも名古屋大学病院の研究協力施設として参加)

主な疾患

疾患名 疾患の簡易解説
慢性腎臓病 慢性腎臓病とは、尿の異常(多くは蛋白尿)や腎機能低下(eGFR 60ml/min/1.73㎡未満)が3か月以上つづく状態を指します。国民病と呼ばれるほど数が多く、成人の8人に1人、80歳台の2人に1人が慢性腎臓病です。蛋白尿が多くeGFRが低い人ほど末期腎不全(透析か移植が必要になること)になりやすく、心筋梗塞や脳梗塞といった病気にもなりやすいと言われています。慢性腎臓病では低下した腎機能が回復することは基本的に期待できず、進行予防のためには糖尿病、高血圧、高尿酸血症など生活習慣病の治療や食事管理、適度な運動、禁煙といった生活習慣の是正が大切です。
IgA腎症 IgA腎症は、慢性糸球体腎炎の中で最も頻度の高い病気で、小児や若い人にも起きます。血尿と蛋白尿が続き検診で発見されることが多いです。扁桃腺に代表されるリンパ組織で、異常をもったIgAという免疫タンパク質が過剰に作られ、それが腎臓を障害すると言われています。尿の赤み(血尿)を自覚する人もいますが、多くは無症状です。しかし長い年月をかけて腎機能が低下しやすく、成人では20年で30~40%が末期腎不全(透析か移植が必要になること)になります。特に蛋白尿が多いとか、病理検査の結果が重いと、腎不全になりやすいと言われています。寛解(蛋白尿と血尿を消失させること)させ、将来腎不全にならないように治療を行います。
多発嚢胞腎 ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)は、腎臓にたくさんの嚢胞(水分でできた袋)ができる遺伝性の病気です。嚢胞は年齢とともに増え、徐々に腎機能が低下します。60歳までに約半数の患者さんが末期腎不全(透析か移植が必要になること)になりますが、腎機能低下のスピードは個人差が大きく、同じ家系の中でも進み具合にはかなりの幅があります。脳動脈瘤や肝臓の嚢胞、心臓弁膜症などの病気を合併することもあり、みつかればそれぞれに治療をします。腎臓に対しては降圧治療や積極的な飲水、治療の条件を満たせばトルバプタンという嚢胞増大をおさえる薬などで治療します。
ネフローゼ症候群 ネフローゼ症候群は尿からタンパク質がもれて、血液中のタンパク質であるアルブミンが少なくなることで体全体がむくむ病態です。ひとつの病気ではなく、同じような症状を出す様々な病気の総称です。足や顔のむくみや尿の泡立ちがよくある症状ですが、ひどくなると肺や腹部、心臓や陰のうにも水がたまります。血液中のコレステロールが増えたり、腎不全、血栓症(血管が詰まる病気)、感染症を合併する危険性もあります。腎生検(入院して腎臓に針を刺し、採った腎臓を顕微鏡でみる検査)で原因となる病気を調べて、結果に応じてステロイドや免疫抑制といった薬を中心とした治療を行います。
急性腎障害 急性腎障害とは、数時間~数日の間に急激に腎機能(尿をつくり、老廃物を排泄するはたらき)が低下する状態です。無症状の人もいますが、重症になると尿の減少、むくみ、食欲低下、全身倦怠感などを自覚することがあります。採血では血中尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン(Cr)、カリウム(K)などが急に上昇します。腎臓自体に原因がある場合と、脱水や尿路の閉塞など腎臓以外に原因がある場合にわかれます。診断したら急いで原因を突き止め、その治療を行います。腎機能の回復は、腎障害の原因や程度、合併症の状況によって異なるため、腎障害が残って慢性腎臓病や末期腎不全に移行してしまうケースもあります。
末期腎不全 原因によらず、腎機能の低下が進行した状態が末期腎不全です。おおよそeGFR10ml/min/1.73㎡未満になると尿毒症の症状が強く出やすくなります。症状はとても多彩で、動悸息切れ・貧血・むくみ・吐き気や食欲低下・かゆみ・疲れやすさなど様々です。体内にたまった老廃物を除去し、症状を改善させるには腎代替療法(透析か腎移植)が必要です。人工透析療法(腹膜透析や血液透析)、腎移植(献腎移植や生体腎移植)といった治療法があり、基礎疾患や年齢、生活スタイルなどを考慮しながら相談してどの治療が最適かを決めていきます。

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