脳神経内科のコラム
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脳神経内科のコラム
糖尿病性神経障害について
糖尿病性神経障害は網膜症・腎症とならぶ三大合併症のひとつです。糖尿病早期から起こると言われ、心臓の働きを支配する自律神経障害を含むため生命予後にも関与することが知られています。糖尿病性神経障害は足の感覚が鈍くなり血流障害も合併して壊死になる知覚鈍麻型、切られるような痛みやビリビリ感が辛い知覚過敏・疼痛型、たちくらみや頑固下痢・便秘をきたす自律神経障害型に分かれますが、一人の方に混在して症状が出現することもあります。糖尿病性神経障害の研究・治療はミシガン大学研究員時代からの私のライフワークであり、中部ろうさい病院脳神経内科では皮内神経機能検査を用いて早期診断が可能です。糖尿病内科での血糖コントロールが最も大切ですが、神経機能の診断を脳神経内科に受診して把握することも糖尿病合併症の把握・治療には有効と考えます。
脳神経内科医として思うことー神経難病の患者さんへ
脳神経内科が担当する疾患には筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病などいわゆる神経難病が多数あります。これらの疾患の多くは長い治療期間が必要なばかりか治癒が困難な場合が少なくありません。神経内科医による病名告知は長い病気との付き合いの始まりを意味します。神経難病の診断を受けた患者さんやそのご家族は、最初はもちろん当惑される方がほとんどです。「難病」という言葉に怯えて先行きを悲嘆されるあまり治療に消極的になってしまう方も数少なくありません。私たち脳神経内科医は神経難病の患者さんとむきあい・寄り添うことを治療の大切な柱と考えます。そのため身体機能(ADL)の改善・維持のため最先端の治療法を紹介・実践することはもちろんですが、患者さんの生活の質(QOL)の向上のため、細々とした生活のアドバイスや特定難病制度・身体障害者などいろいろな制度の案内、介護保険利用の相談などにも対応しています。一番大切なことは患者さんやご家族の病気と向き合っていく姿勢です。私たちは患者さんが病気を抱えながら生きていく、その良き伴走者になることを心がけています。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)について
CIDPとは手足の力が弱くなり、高いところに持ち上げられない、階段を登りにくい、足先がひっかかる、握力が落ちたなどの症状が数ヶ月の間に比較的ゆっくり進行する疾患です。運動症状だけでなく手足のジンジンとしたしびれや知覚鈍麻といった感覚症状が合併したりより優位なこともあります。末梢神経は脳からの運動刺激を筋肉に伝える運動神経、皮膚からの感覚刺激を脳に伝える感覚神経を含み、CIDPは末梢神経が自己免疫の異常によりリンパ球に攻撃されて炎症を起こします。CIDPは整形外科疾患や脊髄・筋肉の病気、脳梗塞などとの鑑別が難しく、診断には詳細な電気生理学的検査と専門医の診察が必要です。中部ろうさい病院脳神経内科にはCIDPの患者さんが多く、豊富な治療お経験から症例に適した治療法を選択することができます。CIDPは神経難病のひとつではありますが早期治療で良好なADLを維持できる可能性のある疾患であり、早期発見と適切な治療選択が重要です。