疾患名 |
疾患の簡易解説 |
1型糖尿病 |
膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞の自己免疫機序による破壊により、絶対的なインスリン欠乏になる糖尿病です。発症のタイプにより、急性発症、劇症、緩徐進行に分類されます。比較的若年での発症が多く、日本人糖尿病患者の数%と言われています。急性発症、劇症タイプはすぐにインスリン自己注射療法の適応となりますが、緩徐進行型は進行がゆっくりですぐのインスリン治療を要しない場合があります。 |
2型糖尿病 |
日本人糖尿病患者の95%以上とも言われている比較的成人に発症するタイプの糖尿病です。ただ最近は肥満傾向の10代の若年発症も増えています。必ずしも肥満を伴うわけではありませんが、遺伝的体質に過食、運動不足、高齢などの生活習慣の乱れが加わることで発症します。インスリン分泌不全や抵抗性により相対的に必要なインスリン作用が得られず高血糖となります。食事と運動療法から内服薬やインスリン注射にて治療します。 |
妊娠糖尿病 |
もともとは糖尿病と言われたことがない方が妊娠に伴って高血糖を来すと妊娠糖尿病と診断されます。特に胎児生育への影響が大きい妊娠初期に厳格な血糖管理を必要とする場合があり、早期からの受診が必要です。妊娠中は継続的に食前食後の自己測定を行い必要に応じインスリン自己注射療法を始めていただきます。出産後多くの方は健常の血糖値に速やかに改善しますが、将来糖尿病になる可能性は高いです。 |
高度肥満症 |
日本肥満学会ではBMI(Body Mass Index)25以上の方を肥満と定義し、さらに膝痛・股関節痛・腰痛を伴ったり糖尿病や脂質異常症など慢性疾患の合併がある場合は、治療の対象である病気として「肥満症」としています。治療は栄養と運動療法の指導を中心に毎日の体重測定と記録をつけることから始め、多くの場合は各種の薬物療法や超低カロリー療法を追加して行います。高度肥満症の場合はさらには胃の縮小手術も行われます。 |
脂質異常症 |
一般に血清悪玉コレステロール値が140 mg/dL以上は高コレステロール血症、血清トリグリセリド値150 mg/dL以上は高中性脂肪血症となります。動脈硬化性疾患の予防のための各種ガイドラインでは、個々の患者さんの併発症や病状、年齢などによりその目標となる数値は異なります。比較的効果的な薬物が多く開発されており薬物治療にて基準値内に達成可能です。脂質異常症の治療により脳卒中や心筋梗塞などの発症抑制が明らかとなっています。 |
痛風・高尿酸血症 |
血清尿酸値7.0 mg/dL以上は高尿酸血症となります。尿酸値が高いだけでは自覚症状はありませんが、長期間の高尿酸血症により関節・足先などに結晶となった尿酸がたまり炎症が生じ、激痛の痛風発作が起こります。 また腎臓結石や尿管結石の原因となり、背部などに激痛を生じます。尿酸の生成抑制薬や尿への排泄促進薬で治療を行います。食事療法としてプリン体の摂取制限が必要となります。 |
骨粗鬆症 |
骨粗鬆症とは、骨の代謝バランスが崩れ、骨形成よりも骨破壊が上回る状態が続き、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。日本には約1000万人以上の患者さんがいると推定され、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。骨折としては、脊椎の圧迫骨折、大腿骨頸部骨折、手首や上腕骨骨折などが生じます。一旦骨折が生じますと患者さんの生活の質を著しく悪化させるため予防が重要で内服薬や注射薬などを使用します。 |
バセドウ氏病 |
自己免疫異常による甲状腺機能亢進症です。自己免疫疾患であり比較的女性に多く体質が影響する部分もあり、しばしば1型糖尿病と同時に見つかります。甲状腺に対する刺激抗体により血中甲状腺ホルモン(fT3, fT4)値が上昇し、動悸、発汗、イライラ感、下痢、体重減少などの症状が出現します。治療としては、まず内服薬が多くで選択されますが、改善が不十分の場合は手術療法や放射性ヨウ素内用療法が行われます。 |
甲状腺機能低下症(橋本病) |
原発性甲状腺機能低下症で最も多いのは慢性甲状腺炎(橋本病)です。橋本病は自己免疫疾患の一つで、主な症状は甲状腺腫大です。血中甲状腺ホルモン(fT3, fT4値)の低下と甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の上昇、甲状腺に対する自己抗体が陽性となることで診断されます。血中甲状腺ホルモン値が低下するため、徐脈、心肥大、うつ状態、筋力低下、脱毛、皮膚乾燥、過多月経、低体温などの症状がみとめられます。甲状腺ホルモン製剤の内服で補充療法を行います。 |
原発性アルドステロン症 |
副腎からアルドステロンが自律的に過剰分泌される病気です。高血圧を生じますが、高血圧症の患者さんの5%程度が原発性アルドステロン症と推定されています。副腎腫瘍や過形成からのアルドステロン過剰分泌が原因となります。副腎腫瘍が原因の場合は手術治療が選択されますが、過形成の場合は手術治療の対象とならず、アルドステロン拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)による治療を行います。 |