整形外科の対応疾患

主な疾患

疾患名 疾患の簡易解説
大腿骨近位部骨折 高齢者が転倒し、股関節痛で歩けなくなる場合は、ほとんどが本骨折です。1週間寝たきりでいると10-15%の筋力低下を生じ、著しく日常生活機能を低下させます。速やかに手術を行い、早期リハビリテーションにより機能を保つことが大事です。当院ではなるべく受傷後48時間以内に骨接合術を行うようにしています。また骨粗鬆症により骨折しやすい状態にあるため、次の骨折を予防するために骨粗鬆症の治療も入院中に開始します。
四肢骨折 青壮年に多い労災事故、交通事故などによる四肢の骨折に対し、保存療法または手術療法どちらが望ましいかを検討した上で加療を行っています。手術適応のあるものには髄内釘、ロッキングプレートなどを用いた骨接合術を行い、より強固な内固定を得ることにより、早期のリハビリテーションを開始し、早期の社会復帰を目指しています。最新の知識をもとに、安全に行うことを心がけております。
手根管症候群 手根管症候群は、正中神経が手首にある手根管というトンネル内で圧迫された状態で、親指から環指の母指側の3本半の指がしびれたり痛くなったりする病気です。明け方に症状が強くなったり、進行すると物を摘むといった細かい動作がしにくくなります。消炎鎮痛剤の内服や外用薬、装具などで治療しますが、これらが無効な場合は日帰りでの手根管開放術を行います。
ばね指 ばね指は指の付け根付近に力がかかり、同部の腱や腱鞘に炎症が起きて腱鞘炎になり、さらに進行し引っ掛かりが生じ、ばね現象が起きる病気です。局所安静や消炎鎮痛剤の内服や外用薬、腱鞘内ステロイド注射で治療しますが、これらが無効な場合や再発を繰り返す場合は、日帰りでの腱鞘切開術を行います。
変形性股関節症 加齢や寛骨臼形成不全(骨盤の作りが悪い)などにより股関節の軟骨が削れて股関節の痛みや可動域制限がでる病気です。股関節の診察やレントゲンで診断します。まずは痛み止めやリハビリでの保存治療を行いますが、それでも改善に乏しい場合は骨切り術や人工股関節置換術を行います。当院ではナビゲーションを用いたAnterolateral supine approachにて人工股関節置換術をしており、より正確で低侵襲な手術を心がけています。
特発性大腿骨頭壊死症 主にアルコール多飲やステロイド薬による影響で大腿骨頭に骨壊死が起きて股関節が破壊される病気です。骨壊死した範囲が小さい場合は痛み止めなどの保存治療でも症状改善する可能性がありますが、骨壊死した範囲が大きい場合は骨壊死した部分は再生しないため、骨壊死した部分が圧壊して骨切り術や人工股関節置換術が必要になることが多いです。
変形性膝関節症 加齢や肥満などにより膝関節の軟骨が削れて膝関節の痛みや可動域制限がでる病気です。診察やレントゲンで診断します。痛み止め、リハビリなど保存治療をまず行いますが、改善に乏しい場合は骨切り術や人工膝関節置換術を行います。痛みの原因が膝関節の内側に限局し、靭帯が痛んでいない場合は人工膝関節単顆置換術(部分人工膝関節)を行うこともあります。
頚椎症性脊髄症 ・概念:加齢に伴う頚椎変性(椎間板の膨隆,黄色靭帯の肥厚など)によって,頚椎の脊柱管の中にある脊髄本幹が圧迫されて生じます。
・診断:上肢や下肢のしびれ・運動障害といった症状に加え,頚椎MRIで脊髄の圧迫所見により診断します。
・治療:しびれのみの場合は経過をみることが多いですが,進行してボタン・箸・書字など手指巧緻運動の障害や,歩行時のふらつきなど下肢運動障害が出てくると脊柱管を拡大する手術療法(椎弓形成術など)を考慮することになります。
頚椎症性神経根症・頚椎椎間板ヘルニア ・概念:加齢に伴う頚椎変性(骨棘の形成)や椎間板の膨隆(ヘルニア)によって,椎間孔(神経の枝の出口)が狭くなり神経根が圧迫されて生じます。
・診断:片側の上肢のしびれ・痛み(多くは頚椎を後屈すると悪化),ときに上肢の筋力低下。頚椎MRI等で椎間孔の狭窄所見により診断します。
・鎮痛剤の内服,ブロック加療,手術の順にリスクの低いものから段階を踏んで行います。ブロック加療としては神経根ブロックや椎間板ブロック,手術療法としては人工椎間板置換術や前方椎体固定術などがあります。
首下がり症候群 ・概念:頚部伸筋群の筋力低下により、顎が胸に近づくほどの著明な前屈姿勢(chin-on-chest deformity)を呈する状態です。自動での頚部伸展が困難だが、他動的には矯正できることが多い。
・診断:症候群であり、"病名"ではなく、様々な疾患の結果として生じる。神経筋疾患によるもの(パーキンソン病・パーキンソン症候群,重症筋無力症,筋萎縮性側索硬化症,多発筋炎・封入体筋炎,後頚部筋群ミオパチーなど)。脊椎疾患によるもの(頚椎後弯,バランス異常(頚胸椎移行部アライメント不良など)。 その他として薬剤性(抗精神病薬によるジストニアなど)によるものなど。原因検索のため脳神経内科でも診察していただきます。
・治療:基礎疾患の治療が中心となります。筋疲労軽減のため補装具(頚椎カラ-など)を使用し,頚部伸筋の強化や体幹バランス訓練などの運動療法(リハビリテ-ション)を行います。保存療法で改善しない場合,長範囲な後方固定術などが検討されるが、適応は限定的であります。
腰部脊柱管狭窄症 ・概念:加齢により変性肥厚した黄色靭帯や椎間板の膨隆により,脊柱管本幹や椎間孔が狭くなり神経が圧迫されて生じます。
・診断:脊柱管本幹での狭窄の場合,多くは両下肢の広範なしびれ・疼痛。椎間孔での狭窄の場合,片側下肢の特定のエリアのしびれ・疼痛。典型的には,長く歩くと下肢症状がどんどん悪化して歩けなくなり 腰椎前屈姿勢で休憩すると改善するという「間欠性跛行」という症状が知られています。腰椎MRI等で脊柱管本幹や椎間孔の狭窄所見により診断します。
・治療:鎮痛剤等の内服,(椎間孔狭窄の場合)ブロック加療,手術の順にリスクの低いものから段階を踏んで行います。ブロック加療としては神経根ブロックや椎間板ブロック。手術療法としては椎弓形成術や後方椎体固定術などがあります。
変性側弯症 ・概念:加齢に伴う脊椎の変性(椎間板変性・椎体変形・椎間関節の変性・靭帯の弛緩など)によって、成人になってから新たに発生する側弯症。多くは 40-50代以降 に発症し,特に 腰椎に好発します。成人脊柱変形の主要な病態の一つ。
・診断:腰部脊柱管狭窄症の症状に加え,姿勢異常による筋疲労性腰痛などがあります。長く立っておられず,台所(キッチン)で肘をついて作業する習慣がある人にみられる、肘後面の乾燥・肥厚・角化を示す皮膚所見(Kitchen elbow sign)を認めることもあります。前後彎の異常を伴うことも多いため立位全脊椎 X線を撮影し,曲がりの程度,バランス異常の程度などを全体像として評価します。
・治療:運動療法,鎮痛剤等の内服,椎間孔狭窄などの神経痛症状が主体の場合はブロック加療,手術の順にリスクの低いものから段階を踏んで行います。手術療法としては病態に応じて椎弓形成術や短椎間の後方椎体固定術などで済むこともあります。時に前後合併椎体固定術や骨切り術などを併用した長範囲固定術を行うこともあります。
腰椎椎間板ヘルニア ・概念:軟骨のクッションである椎間板の辺縁部(繊維輪)が断裂し,椎間板中心部の髄核が飛び出し神経を圧迫して症状が出ます。
・診断:多くは片側下肢の特定のエリアのしびれ・痛み,ときに筋力低下。大きなヘルニアで脊柱管本幹での狭窄が顕著な場合,腰部脊柱管狭窄症と同様に両下肢に広範な疼痛・しびれ,ときに排尿障害が出ることもあります。腰椎MRI等で椎間板ヘルニアによる脊柱管内や椎間孔での神経の圧迫所見により診断します。
・治療:鎮痛剤等の内服,ブロック加療,手術の順にリスクの低いものから段階を踏んで行います。一部のタイプのヘルニアは,酵素注入療法が有効なことがあります。また手術療法としては後方椎間板摘出術や後方椎体固定術などがあります。

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