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小児科診療の停止について

整形外科の診療内容

特色

当科は東海地方のほぼ全域から患者さんを受け入れており、手術件数は年間約1000例です。脊椎・脊髄外科の手術件数は年間約500例です。施設限定である頚椎人工椎間板置換術や側方侵入椎体間固定術、骨セメントを用いた経皮的椎体形成術なども行っております.手術に偏らず、保存的治療(選択的神経根ブロック、椎間板内注射)も行っています。関節外科の手術件数は年間約200例です。関節温存が可能な場合は骨切り術を行っています。人工股関節置換術では前外側侵入法を用いて術後股関節脱臼率を下げております。人工膝関節置換術では低侵襲な単顆置換術なども行い、術後可動域の温存に努めております。「四肢外傷外科」では増加の一途をたどっている高齢者の大腿骨近位部骨折の合併症軽減を目的とした早期手術、早期離床を実践し、併存する骨粗鬆症の加療についても適切に行い、二次骨折の予防に努めております。


関連医療施設及び装置

リハビリテーション科との緊密な連携により、患者さんに専門性の高い治療を提供でき、早期の社会復帰が実現しています。また、患者さんのさまざまな状況に迅速に対応するため、形成外科や神経内科および内科の各科が当科と連携して治療に当たっています。さらに、MRI、CT、手術室CT、CPM(持続的他動運動装置)、超音波メス、脊髄モニタリング、ナビゲーションシステムなど治療に際し多くの機器・装置を導入しています。


医療連携

リハビリテーション科との緊密な連携により、患者さんに専門性の高い治療を提供でき、早期の社会復帰が実現しています。入院前からメディカルサポートセンタ-での面談(薬剤師による内服薬確認、栄養士による栄養状態確認、リハビリ病院への転院・施設への入所などの後方支援施設についての相談など)を受けていただき,安全で安心な医療提供に努めております.また大腿骨近位部骨折に対しては、地域連携パスにより回復期リハビリテ-ション病院へのスム-ズな転院を行っています.


認定・研究等

  • 各種臨床経験の論文を国内のみならず海外にも発表しています。「脊椎・脊髄外科」では脊椎外傷、脊椎変性疾患の手術術式および術後成績や画像解析、保存療法に関する研究にも取り組んでいます。「関節外科」では人工関節置換術、骨切り術の手術術式および術後成績に関する研究に取り組んでいます。若手医師による発表も全国規模の大きな学会でも行っており、未来の優秀な整形外科専門医の育成に励んでおります。
  • 日本整形外科学会の研修施設として認定されています。また、数少ない日本脊椎脊髄病学会の研修施設としても認定され、頚椎人工椎間板置換術の初期認定(ファカルティ-)施設(32施設)でもあります。

主な疾患

当院の整形外科は「脊椎・脊髄外科」と「関節外科」に重点を置いています。

疾患名 疾患の簡易解説
大腿骨近位部骨折 高齢者が転倒し、股関節痛で歩けなくなる場合は、ほとんどが本骨折です。1週間寝たきりでいると10-15%の筋力低下を生じ、著しく日常生活機能を低下させます。速やかに手術を行い、早期リハビリテーションにより機能を保つことが大事です。当院ではなるべく受傷後48時間以内に骨接合術を行うようにしています。また骨粗鬆症により骨折しやすい状態にあるため、次の骨折を予防するために骨粗鬆症の治療も入院中に開始します。
四肢骨折 青壮年に多い労災事故、交通事故などによる四肢の骨折に対し、保存療法または手術療法どちらが望ましいかを検討した上で加療を行っています。手術適応のあるものには髄内釘、ロッキングプレートなどを用いた骨接合術を行い、より強固な内固定を得ることにより、早期のリハビリテーションを開始し、早期の社会復帰を目指しています。最新の知識をもとに、安全に行うことを心がけております。
手根管症候群 手根管症候群は、正中神経が手首にある手根管というトンネル内で圧迫された状態で、親指から環指の母指側の3本半の指がしびれたり痛くなったりする病気です。明け方に症状が強くなったり、進行すると物を摘むといった細かい動作がしにくなります。消炎鎮痛剤の内服や外用薬、装具などで治療しますが、これらが無効な場合は日帰りでの手根管開放術を行います。
ばね指 ばね指は指の付け根付近に力がかかり、同部の腱や腱鞘に炎症が起きて腱鞘炎になり、さらに進行し引っ掛かりが生じ、ばね現象が起きる病気です。局所安静や消炎鎮痛剤の内服や外用薬、腱鞘内ステロイド注射で治療しますが、これらが無効な場合や再発を繰り返す場合は、日帰りでの腱鞘切開術を行います。
変形性股関節症 加齢や寛骨臼形成不全(骨盤の作りが悪い)などにより股関節の軟骨が削れて股関節の痛みや可動域制限がでる病気です。股関節の診察やレントゲンで診断します。まずは痛み止めやリハビリでの保存治療を行いますが、それでも改善に乏しい場合は骨切り術や人工股関節置換術を行います。当院ではナビゲーションを用いたAnterolateral supine approachにて人工股関節置換術をしており、より正確で低侵襲な手術を心がけています。
特発性大腿骨頭壊死症 主にアルコール多飲やステロイド薬による影響で大腿骨頭に骨壊死が起きて股関節が破壊される病気です。骨壊死した範囲が小さい場合は痛み止めなどの保存治療でも症状改善する可能性がありますが、骨壊死した範囲が大きい場合は骨壊死した部分は再生しないため、骨壊死した部分が圧壊して骨切り術や人工股関節置換術が必要になることが多いです。
変形性膝関節症 加齢や肥満などにより膝関節の軟骨が削れて膝関節の痛みや可動域制限がでる病気です。診察やレントゲンで診断します。痛み止め、リハビリなど保存治療をまず行いますが、改善に乏しい場合は骨切り術や人工膝関節置換術を行います。痛みの原因が膝関節の内側に限局し、靭帯が痛んでいない場合は人工膝関節単顆置換術(部分人工膝関節)を行うこともあります。
頚椎症性脊髄症 ・概念:加齢に伴う頚椎変性(椎間板の膨隆,黄色靭帯の肥厚など)によって,頚椎の脊柱管の中にある脊髄本幹が圧迫されて生じます。
・診断:上肢や下肢のしびれ・運動障害といった症状に加え,頚椎MRIで脊髄の圧迫所見により診断します。
・治療:しびれのみの場合は経過をみることが多いですが,進行してボタン・箸・書字など手指巧緻運動の障害や,歩行時のふらつきなど下肢運動障害が出てくると脊柱管を拡大する手術療法(椎弓形成術など)を考慮することになります。
頚椎症性神経根症・頚椎椎間板ヘルニア ・概念:加齢に伴う頚椎変性(骨棘の形成)や椎間板の膨隆(ヘルニア)によって,椎間孔(神経の枝の出口)が狭くなり神経根が圧迫されて生じます。
・診断:片側の上肢のしびれ・痛み(多くは頚椎を後屈すると悪化),ときに上肢の筋力低下。頚椎MRI等で椎間孔の狭窄所見により診断します。
・鎮痛剤の内服,ブロック加療,手術の順にリスクの低いものから段階を踏んで行います。ブロック加療としては神経根ブロックや椎間板ブロック,手術療法としては人工椎間板置換術や前方椎体固定術などがあります。
腰部脊柱管狭窄症 ・概念:加齢により変性肥厚した黄色靭帯や椎間板の膨隆により,脊柱管本幹や椎間孔が狭くなり神経が圧迫されて生じます。
・診断:脊柱管本幹での狭窄の場合,多くは両下肢の広範なしびれ・疼痛。椎間孔での狭窄の場合,片側下肢の特定のエリアのしびれ・疼痛。典型的には,長く歩くと下肢症状がどんどん悪化して歩けなくなり 腰椎前屈姿勢で休憩すると改善するという「間欠性跛行」という症状が知られています。腰椎MRI等で脊柱管本幹や椎間孔の狭窄所見により診断します。
・治療:鎮痛剤等の内服,(椎間孔狭窄の場合)ブロック加療,手術の順にリスクの低いものから段階を踏んで行います。ブロック加療としては神経根ブロックや椎間板ブロック。手術療法としては椎弓形成術や後方椎体固定術などがあります。
腰椎椎間板ヘルニア ・概念:軟骨のクッションである椎間板の辺縁部(繊維輪)が断裂し,椎間板中心部の髄核が飛び出し神経を圧迫して症状が出ます。
・診断:多くは片側下肢の特定のエリアのしびれ・痛み,ときに筋力低下。大きなヘルニアで脊柱管本幹での狭窄が顕著な場合,腰部脊柱管狭窄症と同様に両下肢に広範な疼痛・しびれ,ときに排尿障害が出ることもあります。腰椎MRI等で椎間板ヘルニアによる脊柱管内や椎間孔での神経の圧迫所見により診断します。
・治療:鎮痛剤等の内服,ブロック加療,手術の順にリスクの低いものから段階を踏んで行います。一部のタイプのヘルニアは,酵素注入療法が有効なことがあります。また手術療法としては後方椎間板摘出術や後方椎体固定術などがあります。

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